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竹下景子さんのことば(「赦し・その遥かなる道」ナレーション)

2010612日「赦し・その遥かなる道」日本語版完成記念試写会にてのご挨拶】

  皆さま、こんばんわ。竹下景子です。
  ただいまみなさんがご覧になったこの映画で、私はナレーションを担当させていただきました。ご挨拶をさせていただくにあたって、まず始めに今日こちらにお見えになっているコ・ジョンウォンさんの亡くなられたご家族の皆さまに心からのお悔やみと、そしてコ・ジョンウォンさんにもお見舞いを申し上げたいと思います。

  愛する者を亡くすというのは、なにものにも代えがたい大変深く大きな哀しみであり、苦しみです。哀しみの中にあっても、やはり人は生きなくてはいけないのだと、コ・ジョンウォンさんを見て、まず私は思いました。そして、コ・ジョンウォンさんご自身が生きていくために殺人犯を赦している。誰にでも簡単にまねのできることではない、大変大きな決断をされました。その勇気に私はとても感銘を受け感動しました。

  ただ、映画をご覧になった皆さまにも、そのことがすべての解決に至っていないのはよくお分かりだろうと思います。重大な許し難い殺人事件が、今までも、そして現在も起こっています。私たちがまず第一に考えなくてはならないのは、こういった耐え難い苦しみを経験しなければならなかった被害者、そしてご遺族の皆さまのお気持ちだろうと私は思います。そういった方々への本当の意味での救済がなされない限り、真の解決はないように思います。コ・ジョンウォンさんは本当に大変な試練を乗り越えられて犯人を許すという大きな決断をされ、現在もなお一歩一歩、前を向いて歩き続けていらっしゃいます。
   
   その一方で、コ・ジョンウォンさんと立場を異にする方々がいらっしゃるのも紛れもない現実です。同じ被害にあわれた方であっても考え方が違います。たとえ考え方が違っても、皆が等しく救済されることが、やはり社会としての目指す方向ではないでしょうか。

  死刑という一つの制度を考えるときに、なくなって欲しいと私も思います。ただ同時に忘れてならないのは、今はまだ犯人を赦すということを選択できない方たちが、死刑がなくなったことによって切り捨てられてはいけない、ということです。私は被害者家族の方たちの生活上の問題、それに伴う精神的な救いの両方が解決されていかなければ、本当の意味での死刑廃止の意味はないものと思います。この映画の見出しにあるように「赦す」ということへの道のりは決して平坦ではありません。もしかしたらそのゴールは、ことにこの日本にあっては近くはないのかもしれません。しかし、コ・ジョンウォンさんの人生は私たちに希望を与え、勇気を与えてくれました。そのことを我々は深く胸に刻みたいと思います。

  そしてこの映画の制作にあたって、今日、監督のチョウ・ウクフィさんもこの場に足を運んで下さっていますが、私はこんなにすばらしい作品を作って下さったことに心からの拍手とお礼を申し上げたいと思います。

  マスコミの役割の一つは、被害者と犯罪者どちらにも目を向け、事実を私たち一般市民の前にきちんと示してくれることです。そしてさらに、そこから我々は何を学び、何を選択していくべきか、そういうことを投げかけてくれたのがこの作品であり、それを民放の放送会社が制作したことにも大変私は驚き感動しました。

  丹念な取材をし、長い時間をかけて、人が生きるその思いに寄り添って作られる作品は、残念ながら今の日本には少ないと思います。ニュースで私たちが接する日々の事故、事件、見る側には一瞬の出来事として過ぎてしまいますけれど、当事者にとっては一生消えることのない思いを抱えながら生きていくのだということ、そのことを私も改めて知りました。

  人が生きていく上で困難なこともあるとは思いますが、でも私たちはこうして今日集うことができたのですから、平和な社会を目指して、ゴールは必ず私たちの先にあることを信じて、これからも歩み続けることが大事なんじゃないでしょうか。
               
竹下景子 (『赦し・その遥かなる道』日本語版ナレーション) 

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