« 2012年日本支部総会に参加しました | トップページ | 「待ったなし!取り調べの可視化」署名を86筆集めました »

法相の死刑執行記者会見の発言について(T)

1年8ヵ月ぶり、民主党政権で2回目となる死刑の執行が行われました。
 小川法相は、記者会見で執行の判断の要素として世論調査で85%の国民が死刑を支持していることを挙げました。しかし、死刑は、人権の問題であり、人権を多数決で決めることはできません。このことは、国連自由権規約委員会からも繰り返し指摘されています。(※)
 また、内閣府の調査は、「どんな場合でも死刑は廃止すべきである」と「場合によっては死刑もやむを得ない」から選択するものですが、ここでいう「場合によっては」がどういう場合を指すかは人によって異なります。従って今回の3人の執行を支持する人が85%もいるかどうかは全く不明です。

 法相は、また裁判員裁判で死刑判決が出ていることも国民が死刑を支持している根拠として挙げていますが、そもそもその選任の課程で死刑判決を出さないことを言明した者は、裁判員に選ばれない仕組みになっています。そして選任された裁判員は、死刑制度に反対だから死刑にしないという選択を許されないのですから死刑判決が出ていることと死刑制度が支持されているかは全く関係のないことです。
また、判決は、裁判官を含む過半数以上の多数決で決定されるので、もし裁判官3人が死刑なら裁判員6人中2人が死刑に賛成するだけで死刑判決が出ます。これまでの死刑判決も裁判員のうち4人は死刑に反対だった可能性もあります。
法相の発言は、これらのことを全く無視したものです。

(※)
第4回日本政府報告書に対する自由権規約委員会審査最終見解(1998年)

パラグラフ 7
「委員会は、人権の保障と人権の基準は世論調査によって決定されないことを強調する。規約に基づく義務に違反し得る締約国の態度を正当化するために世論の統計を繰り返し使用することは懸念される。」

第5回日本政府報告書に対する自由権規約委員会審査最終見解(2008年)

パラグラフ 16
「世論調査の結果如何にかかわらず、締約国は、死刑廃止を前向きに考慮し、公衆に対して、必要があれば、廃止が望ましいことを伝えるべきである。」
以上(T)

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版より
「職責果たす」と強調=死刑「国民が支持」―小川法相
2012年 3月 29日 14:17 JST
民主党政権下で2度目となる29日の死刑執行後、小川敏夫法相はやや緊張した表情で記者会見に臨み、「法務大臣としての職責を果たすべきと考えた」と繰り返し強調した。

小川法相は冒頭、「犯罪に対する刑罰は国民が決めることで、刑罰権は国民にある。世論調査でも大半の国民が支持している」と死刑執行に踏み切った理由を説明。裁判員裁判で相次いで死刑判決が出されていることを、重要な要素として挙げた。

3人が選ばれた理由や、この時期に執行した理由については、「死刑が執行できない客観的状況にある人を除いた」とだけ述べ、明確な説明を避けた。政治的配慮があったのかという問いにも、「純粋に法務大臣の職責として執行した」と述べるにとどめた。 
[時事通信社]

日弁連HPより
死刑執行の再開に強く抗議し、死刑執行を停止し死刑廃止について全社会的議論を開始することを求める会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120329.html

|

« 2012年日本支部総会に参加しました | トップページ | 「待ったなし!取り調べの可視化」署名を86筆集めました »

死刑」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 2012年日本支部総会に参加しました | トップページ | 「待ったなし!取り調べの可視化」署名を86筆集めました »